お別れ会・偲ぶ会は開催するべき?気になるメリットとデメリットとは?
お別れ会とは
お別れ会とは、亡くなった方の友人・知人、仕事や趣味の関係者を招待して執り行われる、故人と最後のお別れをするための式典です。
今回は、葬儀とは別にお別れ会を開催することのメリット・デメリットについて、詳しく解説します。
会場
お別れ会の開催場所として選ばれるのは、ホテルの宴会場やレストランが多いです。
お別れ会には葬儀のような宗教的な意味合いが含まれないため、場所の制約を受けません。そのため、会場のセッティング力が高く、料理も充実している場所が会場として利用されるのです。
ただ、一般的な葬儀と同様、宗教的な儀式を取り入れたお別れ会が執り行われるケースもあり、そのときは葬儀場やセレモニーホールが利用されます。
また、お別れ会によっては故人のゆかりの場所で行われる場合もあり、その際に会場となるのは自宅や生前の勤務先などです。例えば故人が教員であれば学校の食堂で、医師であれば病院が会場として選ばれることもあります。
開催日程
お別れ会は、開催日程に関する厳密なルールはありません。
なぜなら、儀式的で昔から続く慣習の影響を強く受けている葬儀とは異なり、お別れ会は比較的自由な形で執り行うことができるからです。参列者の都合に合わせて開催日の調整が行われることもあります。
ただ一般的な傾向としては、お別れ会は故人が亡くなってから四十九日法要までに開催されることが多いです。
お別れ会には決まった形式がないだけに、主催者側が企画し準備するための期間をある程度確保する必要があります。
そのため、葬儀を執り行った後に少し時間を空けて、お墓への納骨が行われる四十九日法要が終わるまでに開催できるよう準備を進めるのが一般的です。
主催者
お別れ会の主催者となるのは、葬儀の喪主、喪主以外の親族、あるいは故人の友人や会社の同僚、趣味仲間などです。
もともとお別れ会は、葬儀に参加できなかった方のために、改めてお別れの場を提供することを目的としています。そのため割合としては、葬儀に参加していない関係者が集まって発起人会を結成し、その上で企画を練って開催に至るというケースが多いようです。
お別れ会にかかる費用は主催者側が負担する場合もあれば、会費制や香典でまかなう場合など、お別れ会ごとに違っています。
特に喪主が主催者となる場合は、すでに葬儀(家族葬)を一度執り行っているということもあり、費用負担の軽減を図る必要もあるでしょう。
偲ぶ会との違い
お別れ会と偲ぶ会は、「葬儀の後、日を改めて故人とお別れをするために開催される会」という点では共通していますが、両者の間にはいくつか相違点があります。
まず、開催日程に違いがあり、偲ぶ会は四十九日法要以降に開催されるのに対して、お別れ会は四十九日法要が執り行われる以前、約1ヵ月後に執り行われるものを指すことが多いです。
例えば、一周忌や三回忌の法要に合わせて開催される場合は、お別れ会ではなく偲ぶ会と呼ばれるのが一般的となっています。
また、偲ぶ会は故人の友人・知人など有志が集まって主催するものを意味する傾向があり、一方、お別れ会はそれに加えて、喪主や喪主以外の親族が主催する会も含めたものを意味するのが通例です。
さらに、お別れ会は四十九日法要までに執り行われることが多いため、宗教性を含む内容となるケースが多く見受けられます。
一方で偲ぶ会は故人が亡くなってからある程度の時間が経過した後に執り行われるので、宗教性が薄くなっていることが多いです。
ただし、以上の違いはあくまで一般的なイメージであって、お別れ会と偲ぶ会の間に厳密な定義上の違いがあるわけではありません。「単なる言い方の違い」とされる場合もあり、ネーミングは各人が自由に選択してよい、ともいえるでしょう。
お別れ会が広がっている理由
一昔前だと、葬儀というと一般葬が常識であり、お通夜・本葬の日には多くの人が参列していました。しかし現在では葬儀に対する見方が以前と変わりつつあり、家族葬のような近親者のみで執り行うケースが増えています。
家族葬では参列するのは家族・親族が中心となるため、故人と生前に交流のあった友人・知人がお別れをする機会を持てません。
そのため近年、多くの方にお別れの場を提供することを目的に、葬儀よりも気軽に参列できるお別れ会を開催するケースが増えてきたのです。
ただ、葬儀よりも参列しやすい会だからといって、無計画で場当たり的に開催してよいものではありません。故人と参列者が納得し、「参列して良かった」と思える会にする必要があります。
お別れ会のメリット
お別れ会の最大のメリットは、故人に合わせた自由な形式で執り行えるという点です。故人の趣味や嗜好に合わせた雰囲気を演出できるため、葬儀のような重々しさがなく、気軽に参加できます。
特に社葬に向いており、企業ブランドを活かしたお別れ会が開催されることも多いです。
また、亡くなってから1ヵ月程度経過してから開催されるので、準備期間を十分に取れます。葬儀の場合、亡くなってすぐに執り行う必要があるため、ご遺族は準備に追われ、疲労が蓄積してしまうことも多いです。
一方、お別れ会であれば時間的余裕を持って対応でき、その間にいろいろと企画を考えることもできます。故人を紹介するためのスライドショーやパネルの作成など、こだわりの演出を行うこともできるでしょう。
さらに、葬儀に参列できなかった方を幅広く招待できる点も、お別れ会の大きな利点です。
特に身内による家族葬が執り行われた場合、故人と生前に親交のあった方や、生前に仕事や趣味で親しくしていた方は、お別れをする機会がありません。お別れ会を開催することで、そのような方々も改めて故人のこと偲ぶことできます。
お別れ会では会食が行われるケースも多く、他の参列者とともにゆっくりと故人の思い出を語り合うことができるでしょう。
お別れ会のデメリット
お別れ会には特別な決まりや慣習がない分、主催者側が自らどのような会にするかを具体的に計画、企画しなければなりません。
「こういうお別れ会をしたい」というコンセプトが明確であれば問題ありませんが、そうではない場合だとプランの立案に手間取る恐れがあります。
また、友人・知人などの発起人がお別れ会の主催者となる場合は、ご遺族の意向をしっかりと聞いておきましょう。さもないと、「こんな会にしてほしくなかった」とご遺族側から非難され、後日トラブルになる恐れもあります。
故人と参列者に失礼のないよう、万全の配慮をしなければなりません。
さらに、お別れ会の会場によっては費用が高額になる場合もあります。たとえば最近では参列者を多く招待できる有名ホテルで執り行われるケースも多いですが、この場合、食事代込みでの会場の使用料は高額になるのが一般的です。
また、ホテル、レストランを会場とする場合、御遺骨の持ち込みができない、読経・焼香を断られる、といったこともあります。
お別れ会を開催する場合は、メリットだけに注目するのではなく、これらデメリットへの配慮も必要です。
当日どのような演出を行うのかは主催者側で早めに相談して決めておくこと、友人など有志が主催者となる場合、ご遺族とも相談・打ち合わせを重ねることなど対策を考えておきましょう。
また、主催者の費用負担を抑えるため、必要に応じて会費制にすることも1つの方法です。
お別れ会はこんな方におすすめ
お別れ会は、身内だけで執り行う家族葬や直葬を検討している方に適しています。
家族葬や直葬は近親者のみ参列する小規模な葬儀形態で、故人の友人・知人は参列できません。そうした葬儀への参列ができない方々のために、後日お別れ会を開催することは有意義であるといえます。
また、葬儀は基本的に、故人が亡くなった直後に執り行うのが通例です。
そのため、ご遺族の中には亡くなったことへの悲しみや衝撃が大きく、故人とゆっくりお別れをしようという気持ちになれない方もいらっしゃいます。
そのような方にとって、葬儀の後で改めてお別れ会が開催されると、今度は心を落ち着かせて、穏やかな気持ちで故人とお別れができるでしょう。
さらに、葬儀は急なスケジュールで執り行われるため、遠方に住む方は参列が難しい場合もあります。お別れ会であれば日程に余裕があるため、海外に住んでいる方など遠方からでも参列しやすいです。
まとめ
お別れ会には、自由なスタイルで執り行えること、準備時間を十分に取れること、葬儀に参列できなかった方も幅広く招待できることなど、メリットは多いです。
しかし一方で、企画・計画を前もってきちんと立てておく必要があること、友人・知人が発起人となる場合はご遺族とトラブルが起こる場合もあること、会場をホテルなどにすると費用がかかること、などのデメリットもあります。
実際にお別れ会を行う場合は、メリットに注目するだけでなく、デメリットにも十分配慮することが大切です。
NHK「おはよう日本」でStoryが紹介されました