社葬に参列するときのマナー|服装・香典・言葉遣いまで徹底解説

「社葬」は故人のお葬式と違い、企業関係者や取引先が多く参列するため、特別なマナーが求められます。この記事では、社葬に参列するときのマナー、特に服装や香典、挨拶などを男女別や立場に分けて説明します。ぜひ社葬に参列する前に確認しておきましょう。

そもそも社葬とは?

社葬とは、その名のとおり「会社」などの大きな団体が主催する「葬儀」のことです。主に社長や創業者など会社に大きな功績を残した方のために行われます。

個人の葬儀と比べると、規模が大きく、参列者には社員だけでなく、取引先や業界関係者、報道関係者なども多く参列し、ホテルや大きなホールなどで、数百人以上集まることもあります。

また、故人との関係性によって、弔辞を依頼されたり、社員をお手伝いとして派遣する場合もあります。

以上のことから、社葬は故人の追悼や業績・人柄を称える場であると同時に、企業の信頼や関係性を深める大切な機会でもあります。

最近では、香典の受け取りを辞退する社葬が増えていますが、供花や供物を受け付ける場合もあるため、事前に先方や葬儀社へ確認することが必要です。また、弔電は、社葬の前日までに届くように手配するなど、相手への細やかな配慮も必要です。

 

社葬の案内を受け取った時のマナー

社葬の案内は、直接届く「案内状」だけではなく、新聞の「訃報記事」や、ホームページでの告知などがあり、案内を受領した際のマナーはとても大切です。まずは、受け取った案内に記載されている情報をしっかり確認してください。特に、故人の名前、役職、社葬などの日程、会場、葬儀委員長について正確に把握しましょう。

取引先の場合は、会社として弔電や供花の手配を速やかに行います。弔電は送付先の住所や正式な宛名を確認してから送付してください。供花を手配する際には、社葬のスタイルや宗教などに配慮したものを選ぶことが望ましいです。

また、電話や書面でのお悔やみの伝え方にも注意が必要です。電話をかける場合は、先方の状況に気を遣い、追悼の意を控えめな言葉で伝えます。書面でのお悔やみの場合は、定型文を参考にしながら、なるべく自分の言葉で故人への感謝や哀悼の意を伝えることが大切です。

 

社葬で気を付けたい服装マナー(男性・女性別)

ここでは、社葬で気を付けたい服装マナーについて、男性と女性それぞれについて説明していきます。

男性の服装マナー

黒スーツ

喪服として仕立てられた深い黒のスーツを選びましょう。社葬の形式やご遺族の意向、風習などに合わせて選ぶことが大切です。ベルトも黒で統一してください。

白シャツ

黒スーツの下には、白色無地のワイシャツを着用しましょう。色付きや柄物、ボタンダウン、半袖は避け、レギュラーカラーまたはワイドカラーを選ぶと良いでしょう。

黒ネクタイ

明るい色や派手なデザインは避け、黒またはダークな色のネクタイを選びましょう。黒ネクタイにはくぼみ(ディンプル)を入れないでください。ネクタイピンは、一般的には装着しません。

光沢と装飾品がない黒の革靴を履くことが一般的です。参列する前にきちんと汚れや傷に注意し、手入れをして清潔感を出すように心掛けてください。また、靴下も黒で統一します。

女性の服装マナー

黒スーツまたはワンピース

女性も黒のスーツまたは黒ワンピースの喪服スタイルが基本です。デザインは、無地または落ち着いたものを選びましょう。靴選びも同様です。

アクセサリー・小物

肌色または黒のストッキングを着用し、光沢のないシンプルな葬儀向けのバッグを選びましょう。メイクはなるべく控えめにナチュラルメイクにしてください。アクセサリーは結婚指輪や一連のパールのネックレスくらいが相応しいと言えるでしょう。

 

社葬の香典・供花マナー

香典袋の表書き(御霊前・御香典)

香典の表書きは宗教によって異なり、一般的なものは以下の通りです。故人の宗教が不明な場合は「御香典」が良いでしょう。

仏教

  • 御香奠/御香典/御霊前/浄土真宗の場合は「御仏前」

神道

  • 御玉串料/御神前/御榊料

キリスト教

  • 御花料/献花料/御ミサ料

 

<水引の下の書き方>

水引の下部には、会社名や個人名を記入します。会社名の場合は、正式名称を記入しましょう。社葬の場合は、「株式会社〇〇代表取締役(役職) 鈴木▢▢(フルネーム)」のように会社名や部署、役職名を添えてください。

 

一般社員・役職者・取引先ごとの金額相場

社葬の場合、香典の相場は故人との関係性や職位によって異なります。一般社員が社葬に参列する場合は、10,000~30,000円、役職者が参列する場合は30,000~50,000円程度が目安です。また、深い交流があった取引先の場合は、50,000~200,000円程度包む場合があります。

 

供花の依頼方法と名札の書き方

社葬に供花を手配する際には、葬儀社を通じて供花の申し込みを行います。ほとんどの場合、葬儀社サイトに指定の形式や価格帯が提示されているため、そこから手配することが一般的です。

名札は、送り主の氏名と肩書のみを記載し、同じ企業内で複数の部署から供花を出す場合は、連名にまとめることが多いです。最近では案内状に「供花は辞退」と明記されるケースも増えているため、注意が必要です。

立場別にみる社葬マナー

 一般社員の場合

一般社員が個人として参列する場合は、故人や遺族との関係性、社内規則に応じて判断してください。香典額の目安は10,000~30,000円程度が一般的です。服装は、黒の喪服や白いシャツ、黒の革靴やパンプスを選び、派手な服装は控えましょう。

役職者・役員の場合

社葬には、部長職以上の役職者が参列するのが基本であり、参列する際には会社を代表する意識が必要です。香典額は一般的に高めに設定し、30,000~100,000円が目安です。深い関係性の場合は200,000円程度包むこともあります。

 

社葬での立ち居振る舞いのマナー

会場到着は開始30分前が目安

社葬当日は多くの参列者が集まり、混雑することがあります。そのため、開始時間に遅れないように早めに会場に到着するようにしてください。上着や大きな荷物などをクロークに預けておくと、落ち着いて受付(記帳)や参列することができます。

会場内で知人や取引先に会っても、業務内容の話をするのはマナー違反です。場の雰囲気を壊してしまうような大きな声や笑い声も厳禁です。また、香典返しやクロークの引き換え札を紛失しないように注意しましょう。

受付での香典・名刺を出す

受付で香典を渡す際には「この度はご愁傷様でございます」と一言添え、丁寧にお悔やみの気持ちを伝えてください。

また、社葬で名刺を渡す場合は、名刺の右上に「弔」と小さく記入するか、左下の角を少し折り曲げて渡す作法があります。なお、会場内で業務上の名刺交換をするのは控えるようにしましょう。

焼香・黙礼をする

焼香の回数は宗派や会場の習慣によって異なるため、案内に従って行動しましょう。仏教では通常、焼香を2回行うことが多いですが、人数が多い社葬では1回のみを指示される場合があります。

黙礼を行う際は、深く行い、短すぎず長すぎずのバランスを意識してください。遺族への目礼も、心を込めて行うことが大切です。動作はいずれも静かに丁寧に行うことが大切です。

スマホの電源を切る

マナーモードやバイブでは音が出る可能性があるため、携帯電話の電源は切っておくようにしましょう。特に規模の大きい社葬では、周囲への配慮が求められます。

仕事関係者には、「社葬に参加するため、連絡が取れないこと」を事前に伝えておくと安心です。また、会場内での写真や録音、SNSへの投稿も禁止されていることが多いため、注意が必要です。待ち時間にゲームや動画を見ることも控えましょう。

私語を控える

社葬に参列する際は、私語を控え、無言の態度で弔意を示します。どうしても必要な会話は、小声で短く行い、業務や関係のない話題はなるべく避けましょう。

咳やくしゃみもできるだけ控え、マスクを着用したり、式が始まる前に薬やのど飴なども活用してください。

万が一、緊急の業務連絡が入った場合は、式の邪魔にならない場所に移動して対処してください。参列者全体で、社葬の雰囲気を作り上げるように心がけましょう。

言葉遣いに気を付ける

社葬の場で、忌み言葉(重ね言葉)も厳禁です。「重ね重ね」「ますます」「再三」など、繰り返しを連想させる表現は不適切とされています。

また、前向きすぎる言葉や励ましの言葉も避けた方が良いでしょう。これはかえって遺族の心を傷つけたり、負担になる場合があるためです。

参列者は丁寧な言葉遣いを意識し、声のトーンや表情にも配慮しましょう。

まとめ

社葬に参列する際は、今後の仕事に影響を与えることもあるため、失礼のない立ち振る舞いが求められます。そして、「会社の代表」として参列しているという意識を持つことが大切です。

服装や香典、挨拶、立場に応じたマナーをしっかり事前に確認しておけば、安心して参列できます。フォーマルな喪服を選び、香典の金額や書き方にも注意を払いましょう。そして、故人への追悼の意を忘れず、静かで誠実な立ち振る舞いをすることが、社葬マナーと言えます。

 

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