お別れ会と告別式の違いとは?お別れ会を開催するまでの流れと費用を解説
目次
お別れ会とは
お別れ会とは、亡くなった方のご家族・ご親族のみで葬儀・火葬を執り行い(密葬)、後日改めて故人にゆかりのある方が集まって、お別れをする会のことです。
「感謝の会」や「お別れの会」とも呼ばれ、開催場所にとらわれずに故人を偲ぶことができます。
かつては、芸能人や文化人など広く名を知られた人が亡くなった際、関係者・ファンの方のために、家族の葬儀とは別に開催されるのが一般的でした。
しかし近年では、家族葬を選ぶ方が増えたことも影響して、一般の方でもお別れ会を開催するケースが増えています。
お別れ会と葬儀・告別式の違い
お別れ会の特徴は、準備の時間にゆとりがあるので、故人を偲ぶことを重視した「その人らしい」お別れができる点にあります。
形式ばった葬儀・告別式とは異なり、故人が生前に好きだった音楽や趣味をモチーフにした空間を創りだすなど、自由なスタイルで執り行うことができるのです。
服装にも決められた形式はなく、平服での参加を促している会も多く見受けられます。例えば野球監督のお別れ会では、チームのユニフォームを着て参列するというケースもありました。
通常、一般的な「葬儀」では、「告別式」と「宗教儀式」が同時に行われます。参加者が故人にお別れを告げるために執り行われるのが告別式。
仏式、キリスト式、神式などの形式に基づき、宗教者が浄土への旅たちや召天を導くために執り行われるのが宗教儀式です。本格的な宗教儀式を伴わないお別れ会は、告別式の一種ともいえます。
もっとも実際には厳密な使い分けはされておらず、無宗教で執り行われる場合でも告別式ではなく「葬儀」と呼ばれることも多いです。
宗教儀式をともなうのに、「告別式」と呼ばれることも少なくありません。しかし言葉の定義を明確にするならば、「お別れ会」は告別式の一形態であり、葬儀とは異なる意味を持つのです。
ただ、お別れ会=告別式かというとそうでもありません。というのも、お別れ会はご遺族が葬儀・火葬を済ませた後、四十九日や一周忌などを目途に執り行われることが多いからです。無宗教の告別式には、そのような時期の縛りはありません。
会自体には宗教儀式は含まれませんが、執り行う時期を決める際に、宗教上のしきたりや慣習に配慮するのがお別れ会なのです。
お別れ会の事例紹介
お別れ会に対して具体的なイメージを持ってもらうために、実際に執り行われた3つのケースを以下に紹介しましょう。いずれも参加者の記憶に長く残る、印象的な会となりました。
野球監督の父ちゃん、ファイナルゲーム
野球監督として多くの人から慕われた「父ちゃん」は、奥さんが泣いているのをみんなに見せたくないと思い、「お葬式は家族だけで」と生前、希望していました。
お葬式から半年ほど経ったらお別れ会をして、お世話になった方たちにお礼を伝えよう…。そんな話を家族としてから間もなく、父ちゃんは亡くなりました。
お別れ会には高校時代の仲間、監督をしていたチームの子どもたちとそのご両親、仕事の同僚や上司、息子や娘の同級生など大勢の方々が参列。祭壇は緑の芝生で作られ、そこに大きな野球のダイヤモンドが白い花で描かれました。
詳細:https://e-stories.jp/case/case_3/
A small party ひとつになろう
家族3世代が集まったお別れ会は、自然が大好きだった「おばあちゃん」にふさわしく、思い出の地である安曇野の新緑あふれる庭・野外にて執り行われました。
お別れ会の主催を務めたのはお孫さんです。手作りの祭壇にはおばあちゃんの写真をはじめ、ご家族の方が野花で作ったリース、メッセージが書かれたキャンドル用のグラスなどが飾られました。
献花、黙とうの後は、ご家族みんなでテーブルを囲んでの食事会。開催場所や形式にとらわれない自由度の高いお別れ会は、おばあちゃんが繋いだ家族の絆を改めて感じられる場となりました。
詳細:https://e-stories.jp/case/case_2/
オーストラリアの愛に包まれて
運命の人とオーストラリア、メルボルンの地で出会ったことで、故人の人生は輝いたものになりました。若くして亡くなった故人ですが、突然の不幸は誰にでも起こり得ることです。故人を偲ぶとき、健康の大切さも改めて思い出してほしい…。お別れ会は、そうしたご家族の想いから実現しました。
祭壇にはオーストラリアに由来のある華やかな花々があしらわれ、会場内には故人の写真や生前に愛用していた品々を飾る思い出のコーナーも設置。
会場でお互いに初めて会ったという参加者の方も多かったはずですが、そのことを感じさせないアットホームであたたかい別れ会となりました。
詳細:https://e-stories.jp/case/case_14/
お別れ会を施行するまで
お別れ会を行うにあたっては、事前にプランを立てること、開催にかかる資金を事前に準備しておくことが大切です。ここでは、お別れ会の流れと費用について詳しく解説します。
お別れ会を実施するときの流れ
お別れ会を行う際の一般的な流れは、以下の通りです。
- お別れ会を執り行える葬儀社や専門会社に相談します。
- 家族のみ参列する家族葬(密葬・火葬)を済ませます。
- 参加者の規模に合わせたお別れ会の会場、日程を決めます。
- お別れ会当日の企画・進行内容を決めます。
- 当日に向けて準備を進め、予定通り会を進行します。
- 精算とアフターフォローを行います。
お別れ会の会場選びや準備は、開催予定日の2~3ヵ月前から行うと余裕をもって進めることができます。具体的なスケジュールの一例を紹介しましょう。
2カ月前まで
業者と相談・打ち合わせ、会場の選定、参加者のリスト作成を行います。
1カ月前まで
案内状の作成と発送、当日の演出・プログラムと会場のコーディネート方法の取り決め、食事や返礼品などの手配を行います。
1週間前まで
参加者の確定、席次の決定、進行表の作成、当日使用する備品の準備、業者側との最終打ち合わせなどを行います。
お別れ会は一般的な葬儀とは違い、宗教的な取り決めはなく、自由な内容で執り行うことができます。結婚式などと同じく、故人のご家族にとっては人生における一大イベントとなる会ですので、適宜プロの力も借りながら、悔いが残らないよう着実に準備を進めることが望ましいです。
お別れ会にかかる費用の相場
お別れ会の費用は、一般的には主催者側がその大半を負担することが多いです。しかし一方で、ご友人など家族以外の方が主催してお別れ会を開催する場合は、参加者が会費を持ち寄って開催することもあります。
お別れ会にかかる費用で最も大きいのは、会場費用です。レストランで開催する場合は、料理代に会場費用が含まれているケースもあります。
会費制で執り行う場合、一般的な会費の相場としては1人あたり8,000円~1万5,000円です。この額は会場費用や飲食代、返礼品など、お別れ会の開催に必要な費用の頭割りに近い金額といえます。
お通夜・本葬に参列したときのお香典の額とほぼ同額、もしくはそれより少し多いぐらいの金額が、会費の額となるケースが多いです。
終わりに
お別れ会は葬儀のような決まった形式はなく、主催者が家族や仲間と相談しながら自由に執り行うことができます。
開催時期や場所の自由度も高く、家族葬・密葬のあと四十九日や一周忌に合わせて、参加者が集まりやすい日に、交通の便がよい場所で開催されることが多いです。
葬儀とは違い、お別れ会であれば故人の想いや趣味を体現した「その人らしい」お別れができます。参加者は故人の生前の姿に思いを致し、共に生きたつながりを強く感じることができるでしょう。
NHK「おはよう日本」でStoryが紹介されました