「先生さようなら」恩師のお別れの会の開き方【仰げば尊し】
一生の間に最も多くの人と出会える職業の一つに、学校の先生があります。
毎年何十人の生徒と、毎日クラスで過ごす。もしかしたら実の親より、たくさんの時間を共有しているかもしれません。
先生とのお付き合いは学校の中だけではありません。卒業して、大人になってからも同窓会や結婚式など、折にふれて顔を合わせて「お、元気でやってるか?」みたいな感じで杯を交わします。ちょっと迷った時に母校を訪れたり、大人になってふとした時に思い出すのも、先生の何気ない一言だったり……毎日教室で授業を受けていた子どものころより、むしろ卒業後、ある程度歳を重ねてからの方が、「恩師」と「教え子」という関係で、親密になれるような気もします。
でも、そんな先生の訃報が、喪中はがき1枚で突然知らされたら、ちょっと淋しいですよね。
家族葬が一般的になった今、ご葬儀の後、教え子たち有志が集まって恩師のためのお別れの会を開くケースも、意外とあるんです。
どうして恩師のお別れの会を開くの?
お葬式の大切な役割の一つに、「社会的なお別れをする」ということがあります。
社会の一員であった故人とのお別れをきちんとすることで、関係者は一つの区切りをつけることができますし、遺族にとっても参列者を通じて、故人の人生や人柄について新たな発見をしたり、知人の方々との交流によって新たな関係を築くことにもつながります。
しかし、お葬式が家族葬など、プライベートな儀式となるに従って、こうした「社会的な意味でのお別れ」はあまり顧みられなくなりました。
そのため、学校の先生など、故人の社会的な地位がある程度高く、交友関係が広かった場合など、お葬式の後に遺族に対して周囲からプレッシャーがかかる場合もあるのです。
有志が主催する「お別れの会」には、教え子たちが先生の人柄を偲んで感謝を伝えるだけでなく、そうした遺族に対する救済措置という意味合いもあるようです。
恩師のお別れ会の主催者は誰?
恩師のお別れの会というのは、ある意味、亡くなった先生が教え子たちのために機会をくれた同窓会のようなイメージです。
主催者は「教え子たち有志一同」というケースが多く、会開催のお知らせや、式場の選定など、会の企画・運営などは発起人となった元生徒たちが行います。
遺族には喪主などをお願いしますし、来賓として遺族を招く場合もあります。
お別れ会の会場の選び方は?
会場を選ぶ際には、参会者の方々が集まりやすい場所を考えましょう。
先生が高齢だった場合には、教え子もそれなりの年齢に達していることも多々あります。なるべくアクセスが良いところが望ましいでしょう。
また、皆が学んだ学校の近くであるとか、想い出に残っているような場所を選ぶ場合もあります。
施設はホテルやレストランのほか、葬儀式場などで行うこともあります。その他、博物館など意外な施設でもきちんと対応してくれることもありますので、「ちょっと無理かな」と、しり込みしてしまいそうな会場でも、一度は相談してみるのがポイントです。
お別れの会の費用はどうするの?
恩師のお別れの会の費用は、参会者の会費制とすることが多いようです。
そのため、お別れの会の開催時には事前に参会者への連絡も大切ですし、どのくらいの人が集まるのか、あらかじめ把握しておく必要があります。
また、まだご葬儀が終わっていない場合などは、合同葬として遺族と費用も分割したりということもあります。
ちなみに会費の設定は、まだ成人していない人の参会が予想される場合などは、子供料金を設定したりすることもあります。
式の進行や演出はどうする?
お別れの会の進行には、基本的に決まりはありません。
もちろん、祭壇なども「こうしなければならない」というルールはありません。
例えば先生が教えてくれた教科にちなんだ祭壇を用意したり、先生が大好きだった料理を用意したり、その演出は自由に行うことが可能です。
ただし会場によってはお線香の使用は禁止だったり、使用にあたっての決まりもありますので、事前に打ち合わせをしながら企画を練っていきます。
ちなみに、献花など参会者全員が参加できることや、想い出映像、お別れの言葉など、元気だったころの先生の姿が偲ばれる仕掛けがあると、会はスムーズに、そして思い出深いものになります。想い出コーナーに卒業アルバムを並べるといった演出も、懐かしくて人気があるようです。
専門家に相談するのも一つの方法
お世話になった先生へのお礼。 できるだけ手作りで、心を込めて行いたいという希望はあるでしょうが、実際には主催者になる“元生徒たち”にも日々の仕事もありますし、なかなか簡単にできるものでもありません。
ですので、通常は葬儀社など専門の会社に相談をしながら準備をすすめていくのが一般的です。
「Story(ストーリー)」では、お別れ会の企画提案から手配・予約、当日の実施までをお手伝いしています。 ライフエンディング事業を長年にわたって行ってきた株式会社鎌倉新書が責任をもってプロデュースいたしますので、ご興味のある方はぜひご相談いただければと思います。
※本記事は、2016年7月15日に「いい葬儀マガジン」に掲載された記事を転載しています。
NHK「おはよう日本」でStoryが紹介されました