グリーフケアとは?悲しみと向き合い、心に寄り添うための方法

大切な人の死は、計り知れない悲しみと喪失感をもたらします。深い悲しみに沈む遺族にとって、周囲の理解とサポートは大きな支えとなります。

こうした悲嘆に暮れる人々の心の回復を助け、寄り添う役割を果たすのが「グリーフケア」です。

本記事では、グリーフケアの重要性、悲嘆の症状や回復までの流れ、グリーフケアの代表的な手法について解説します。

グリーフとグリーフケアとは

人生で経験する中で最も厳しい試練の一つが、大切な人との別れです。このとき感じる深い悲しみを「グリーフ」と呼びます。

この深い悲しみを抱える人々に寄り添い、彼らが前に進むための支援を提供するのが「グリーフケア」です。

詳しく見ていきましょう。

グリーフとは

大切な人との死別や離別は、私たちに計り知れない悲しみや喪失感をもたらします。心は、二つの相反する感情で引き裂かれそうになります。

一方では、亡くなった人を想う気持ちで心が一杯になります。例えば、愛する人との思い出、共に過ごした時間、もう二度と会えないという現実への絶望感などです。

他方で、現実を受け止め、前に進む意志も湧いてきます。失われた日常を取り戻したい、周囲の人々に支えられたい、新たな人生を歩みたいといった願望などがその一例です。

心はこれら二つの感情の間で揺れ動き、不安定な状態に陥ります。また、身体的な不調が生じることもあります。食欲不振や睡眠障害、疲労感、集中力の低下など、心身のバランスが大きく崩れるのです。

これが「グリーフ」という、喪失体験によって引き起こされる心身の反応です。グリーフ(grief)は、日本では主に「悲嘆」と訳されます。

グリーフケアとは

死別や離別は、心を深い悲しみで覆い隠すほど辛い体験です。

しかし、適切に対処することで、個人の考え方や生き方を変えるほどの強いエネルギーに変わる可能性があります。

大切なのは、悲嘆に苦しむ人々に寄り添い、彼らの話を丁寧に聞き、必要なサポートを提供することです。

このように、悲嘆と喪失に苦しむ人々をサポートし、悲しみを乗り越えられるようにケアすることを「グリーフケア」と呼びます。

グリーフケアは、専門家だけでなく、家族や友人など周囲の人々によっても実践可能です。

グリーフケアの考え方とは

大切な人を亡くした悲しみは、言葉では言い表せないほど深く、心身への影響も甚大です。

グリーフケアは、そのような悲しみを否定せず、むしろ「受け入れる」ことを重視します。

悲嘆を異常な反応と捉えるのではなく、「大きな喪失感に適応しようとする、心の自然な反応」と理解することが大切です。

無理に感情を抑えたり、自分を奮い立たせたりすることは逆効果です。

グリーフケアの重要性とは

大切な人や身近な人との死別や離別は、失うものが大きい一方で、そのような経験を通して人は学び、人間的に成長できます。

しかし、核家族化が進んだ現代社会では、家族との絆が希薄になったことから、死別や離別との向き合い方に悩む人が増えています。

特に、高齢夫婦のみの世帯では、配偶者の死が残された人の心身に大きな影響を与え、要介護状態に陥るケースも少なくありません。

このような時代背景は、グリーフケアの役割をよりいっそう重要にしています。悲嘆や喪失に苦しむ人々を孤立させないためにも、グリーフケアの必要性はますます高まっていくでしょう。

悲嘆のプロセス/グリーフワークの流れ

大切な人との死別や離別で受ける悲しみと立ち直りのプロセスを「グリーフワーク」といいます。

グリーフワークは、主に以下の4つの段階で構成されます。

1.ショック期
2.喪失期
3.閉じこもり期
4.癒し・再生期

注意したいのが、この4つのプロセスが必ずしも順序立てて進むわけではない、ということです。各プロセスを行き来したり、回復と後退を繰り返しながら進行することもあります。

また、回復に至るまでの期間も人それぞれです。故人との関係性、死の状況、その他の要因により個人差がある点を理解しておきましょう。

1.ショック期

大切な人を亡くした直後、多くの人が経験するのがショック期です。

この期間は、突然の死を受け入れられず、茫然自失となったり、感覚が麻痺するような状態になることがあります。

現実を受け止められず、パニック状態に陥る人も少なくありません。

2.喪失期

故人の死を現実として受け入れ始めるものの、心の整理が追いつかず、さまざまな感情が渦巻くのがこの時期の特徴です。

号泣や怒り、敵意、自責感といった感情が波のように押し寄せ、心身に大きな負担がかかります。

なかには、故人がまだ生きているかのように感じ、そのように振る舞う人もいます。

これは、死や別れを完全には受け入れられない心の防衛反応と考えられます。この段階で大切なのは、悲しみを抑え込まず、感情をしっかりと表現することです。

3.閉じこもり期

閉じこもり期は、故人の死をある程度受け止めはしたものの、自身の価値観や生活の意味を見失い、うつ状態や無気力に陥る時期です。

罪悪感や自責感など、複雑な感情が生まれてくる時期でもあります。

4.癒し・再生期

癒し・再生期は、大切な人との死別や離別を乗り越え、自己の再生や新たな社会関係を築いていく時期です。

一見すると悲しんでいないように見えるため、周囲からは「もう元気になった」と誤解されることがあります。しかし、これも悲嘆のプロセスの一環であり、正常な反応です。

グリーフワークの全体を通じた期間は、一般的に配偶者の死別では1年から2年、子供の死別の場合は2年から5年とされています。

ただし、完全に回復するまでの期間は個人差があります。故人の年齢や別れ方、関係性によっても異なるため、その点を考慮することが重要です。

悲嘆により起こる症状/グリーフケアの反応

大切な人を失った悲しみは、単なる心の問題だけでなく、肉体的、心理的、行動的、認知的にさまざまな反応や症状をもたらします。

ここからは、具体的な反応や症状を紹介します。

身体的な反応・症状

身体的苦痛、喉のつかえ、呼吸障害、疲労感、食欲不振、消化に関する諸症状、睡眠障害、気力喪失、頭痛、嘔吐、筋肉の衰え、動悸などの身体的不調、故人と同じ症状の発生、アルコールや薬への依存など

精神的な反応・症状

故人の面影にとりつかれる、思慕、罪責感、憂鬱、不安、怒り、敵意、孤独感、自尊心の低下、絶望感、現実感の喪失、疑いやすさ、幻覚など

行動・認知的な反応・症状

号泣、故人の行動の模倣、行動パターンの喪失、思考・判断速度の低下、集中力の低下など

日本人特有の「思慕」という反応・症状

日本人は、死別後も「思慕」と呼ばれる感情を長期間持ち続ける傾向があります。

思慕とは、亡くなった人や遠く離れた人を懐かしく思い、深い愛を呼び起こす感情のことです。

死別直後は、故人が亡くなった事実を受け入れられず、現実逃避の形で思慕を感じることもあります。

しかし、時間が経過するにつれて悲しみを克服し、思慕の形も「故人を大切な思い出として心に留める」といったものに変化していきます。

グリーフケアの代表的な方法とは

グリーフケアの方法に明確なルールや決まりはないものの、独自のやり方で進めることはおすすめしません。

自分自身や対象者に合った方法でグリーフケアを実施することが大切です

ここからは、グリーフケアの代表的な方法を見ていきましょう。

故人への気持ちを吐き出す

悲しみだけでなく、不安や怒り、後悔など、さまざまな感情を言葉にして表現することで、心の整理が徐々に進みます。

家族や友人に話したり、カウンセラーや医師に相談したりするのも効果的です。話すことが難しい場合は、紙に書き出す方法でもよいでしょう。

大切なのは、一人で抱え込まず、周囲に助けを求めることです。

グリーフケアの専門家に頼る

辛いときは、一人で全てを抱え込まず、専門家に頼ることが推奨されます。

グリーフケア外来では、個々の症状に応じてカウンセリングや投薬治療などが受けられます。そのほか、精神科や心療内科、遺族外来でも同様の治療が施されます。

また、一般社団法人日本グリーフケア協会認定の「グリーフケア・アドバイザー」という資格保有者は、悲嘆や喪失に苦しむ人をサポートするグリーフケアの専門家です。グループワークやセミナーを通じて、実際にグリーフケアを体験できることもあります。

参考:グリーフケアアドバイザー|一般社団法人日本グリーフケア協会

グリーフケアの会合に参加する

同じ境遇の人と交流できるグリーフケアの会合は、悲しみを分かち合い、心の負担を軽減する場として多くの人に役立っています。

自助グループや後援会、遺族会といったグリーフを抱えた人たちの集まりは、病院やインターネットを通じて探し、参加することが可能です。

故人のお墓や遺品を精神的支柱にする

お墓や遺骨、お仏壇は、故人を偲び、悲しみを緩和するための大切な存在です。

故人に話しかけたり、心の内を吐き出したりすることで、心の整理が進み、徐々に前進できるようになります。

遺骨は四十九日法要後にお墓に納骨するのが一般的ですが、最近では手元供養を選ぶ人も増えています。

手元供養とは、遺骨の一部を手元に保管し、自宅に骨壺を設置したり、供養スペースを作ったり、アクセサリーとして身に着けたりする方法です。

故人を常に身近に感じられる手元供養は、新たな心の支えとなるでしょう。

お別れ会・お別れセレモニーを開催する

通夜や葬儀、火葬といった儀式は、故人の死を受け入れるための大切なプロセスです。

参列者との思い出話や遺体の火葬・収骨は、グリーフケアにもつながります。しかし、これらのセレモニーは慌ただしく時が過ぎる場合も多く、故人への思いを整理する時間を十分に確保できないことも珍しくありません。

そのような場合には、お別れ会やお別れセレモニーがおすすめです。

お別れ会やお別れセレモニーは、一般的な葬儀と比べて自由度が高く、故人らしさを表現する演出や食事、場所の選択が可能です。

これらのセレモニーは、「親しい人たちと故人を偲ぶことで、悲しみが和らぐ」と、主催者や参列者から高く評価されています。

お別れ会・お別れセレモニーは、故人を偲び、悲嘆や喪失に苦しむ人たちの悲しみを、前向きなものに変えられる新たな選択肢といえるでしょう。

まとめ

本記事では、グリーフケアの重要性、悲嘆の症状や回復までの流れ、グリーフケアの代表的なアプローチについて解説しました。

グリーフケアは、大切な人との死別を経験し、深く悲しんでいる人々に寄り添い、心の回復を助けるものです。

グリーフケアには、さまざまな方法があります。なかでも、故人を身近に感じられる手元供養や、遺族や友人と故人を偲ぶお別れ会・お別れセレモニーがおすすめです。

特に、お別れ会・お別れセレモニーは、故人と心からお別れをするための特別な場です。遺族にとっても、かけがえのない思い出となるでしょう。

Storyは、社葬やお別れ会など、オーダーメイド形式のセレモニーを180件以上プロデュースしてきた実績を持つ、人生の物語を紡ぐセレモニー会社です。

「思い出に残るセレモニーで心を癒したい」「喪失感に苦しむ家族や友人を笑顔にする式を開催したい」とお考えの方は、ぜひStoryへお問い合わせください。

 

【参考】

グリーフケアアドバイザー|一般社団法人日本グリーフケア協会

4.74/5 (61)

NHK「おはよう日本」でStoryが紹介されました

無料進呈中 グリーフケア小冊子「グリーフケア 大切な人を亡くしたあなたへ」

大切な方を偲び、思い出を語る「お別れ会/偲ぶ会」

お別れ会・偲ぶ会というと、著名人や経営者の方が行うイメージがありますが、実は最近では一般の方が行うケースも少なくありません。そんな中で「何をどのように進めたらいいのかまったく分からない…」というご相談をいただくことも増え、そのようなお客様のご要望にお応えするために、私たち「Story」はお別れ会プロデュースを行っています。

「Story」では、参加される方々にご満足いただけるお別れ会をオーダーメイドでお創りします。ご相談やお見積りは無料で行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

お別れ会・偲ぶ会のご相談を承ります
お気軽にお問い合わせください

お別れ会の相談をする

受付時間 9:00~18:00 相談無料
ビデオ通話も受け付けております


Storyのお別れ会事例

その他の非公開事例も多くあります。お手軽なものから大々的なものまで
「こんなお別れ会できるの?」とお気軽にお問い合わせください。


お客様の声・インタビュー


お別れ会ができる会場

Storyのお別れ会は、場所ありきで企画を決めるものではありません。
主催者の方の意見をお伺いして、企画の内容に沿った会場を探すところからお手伝いをいたします。


新着記事/お別れ会ガイド

お別れ会に、あの人らしさを

お別れ会の相談をする

故人を想う人が、故人との思い出を自由に表現する場をつくる。
それがわたしたちが考える新しいお別れのカタチ、"Story"です。

私たちは長年にわたり供養という業界から、お別れのカタチを見て考えてきました。
自分たちにふさわしいやり方で故人と向きあい、思い出を分かち合う場こそが、
わたしたちが考える新しいお別れのカタチです。

自分たちの心と故人のStoryが交わることで
故人との関係は途切れること無く継続していってほしい、
そんな思いから"Story"と名付けました。

世界で一つだけの "Story" を一緒につくりませんか?

お問い合わせはこちら