海外で亡くなった方のお別れ会の開き方|遺体・遺骨の搬送手順も解説

海外で亡くなった方のお別れ会の開き方|遺体・遺骨の搬送手順も解説

海外での旅行、留学、仕事など、さまざまな目的で海外を訪れる機会が増えています。しかし、海外にいる家族が病気や事故で亡くなった場合、どのように対処すればよいのかわからず、戸惑う人も多いかもしれません。

この記事では、海外で亡くなった場合の遺骨や遺体の搬送手順、必要な手続き、費用の概要、そして海外旅行保険の補償範囲などについて詳しく解説します。

年々増加する海外での死亡事例『客死』

近年、海外旅行者や海外で生活する日本人が増加している一方で、病気や事故により海外で亡くなる方も増えています。このように旅先で命を落とすことを「客死」といいます。

また、テロや自然災害など、不測の事態によって命を落とす可能性もゼロではありません。自分の家族や友人が海外で亡くなった場合、どのような対応をすべきなのでしょうか。

あまり考えたくないテーマではありますが、大切な方が海外にいる人にとって、事前に知識を持っておくことは非常に大切です。

【海外で亡くなった場合】ご遺骨を日本に持ち帰る流れ

家族が海外で亡くなった場合、ご遺骨を持ち帰るまでの流れは以下の6つのステップに分かれます。

・外務省から連絡が入る
・現地へ渡航する
・必要な書類を準備する
・現地で火葬する
・ご遺骨を日本に持ち帰る
・日本でお別れ会を開く

それぞれについて、順を追って解説します。

外務省から連絡が入る

家族が海外で亡くなった場合、まず現地の警察や病院から、当該国の在外交官(大使館や領事館など)に連絡が入ります。次に、在外公館から日本の外務省に伝わり、外務省がご遺族に連絡を入れます。

現地へ渡航する

外務省からの連絡を受けた後、故人の身元確認を行うために、ご遺族は現地へ渡航する必要があります。現地の在外公館に連絡を取り、手続きの手順を確認したうえで、遺体を引き取る日程を調整しましょう。

なお、パスポートを所持していない場合でも、自治体で緊急発給を申請することで、迅速に対応可能です。

必要な書類を準備する

海外で亡くなられた場合、最初に必要となるのが現地の医師による死亡診断書とその翻訳文です。この書類がなければ、日本で死亡届を提出できません。

次に、在外公館(大使館や領事館)へ死亡届を提出し、「埋葬許可証」および「遺体証明書」の発行を受けます。

現地で火葬する

ご遺体が事故によって損傷している場合や、登山の滑落事故などご遺体の回収場所が交通の便の悪いエリアである場合、現地で火葬を行うケースが一般的です

「埋葬許可証」と「遺体証明書」を持参し、現地で火葬を行います。

ご遺骨を日本に持ち帰る

海外で骨壷を入手するか、事前に日本から骨壷を送る手配を行います。ご遺骨を骨壷に納めた後、手荷物として持ち帰ります。

土葬文化のある国では骨壷が手に入りにくい場合もあるため、代わりの容器を用意して持ち帰り、日本帰国後に正式な骨壺へ移し替えるのがよいでしょう。

日本でお別れ会を開く

帰国後、しばらくしてから日本でお別れ会を開きます。その際は、お葬式と同様に喪服で参列し、僧侶を招いて読経やお焼香を行う形式が一般的です。

ただし、ご遺体がないため、骨壷を祭壇に置いて執り行うことになります。なお、日本の一部地域では、普段から骨壷を用いたお葬式を施行するエリアもあります。

一方で、僧侶を呼ばず、身内や友人だけでお別れ会を開催するケースも珍しくありません。平日の夜にレストランやホテルを会場とし、故人の映像や写真を用いて追悼したり、参加者がお別れの手紙を読み上げたりします。特に若い方や現役世代の方の場合、このような形式を選ぶケースが多いようです。

【海外で亡くなった場合】遺体搬送の流れ

海外でお亡くなりになり、すぐに親族が駆けつけることができた場合、そのままご遺体を日本に搬送することも可能です。ただし、通常の貨物輸送とは異なるため、特別な手続きが必要です。

ご家族が海外で亡くなった場合に、遺体を搬送する流れは次の5ステップです。

・連絡を受け現地へ渡航する
・必要な書類を準備する
・エンバーミングを施し納棺する
・ご遺体を日本へ搬送する
・葬儀を行う

それぞれについて、順を追って解説します。

連絡を受け現地へ渡航する

ご家族が海外で亡くなった場合、現地の在外公館を通じて外務省に連絡が入り、そこからご遺族へ連絡が入ります。連絡を受けたら、故人の身元確認を行うために、ご遺族は現地へ渡航します。

渡航前には現地の在外公館に連絡を取り、必要な手続きやご遺体を引き取る日程について確認し、渡航準備を進めましょう。

必要な書類を準備する

ご遺体を搬送する際は、現地の医師が発行する死亡診断書とその翻訳文が必要になります。この書類がなければ、日本で死亡届を提出できません。

次に、在外公館へ死亡届を提出し、「埋葬許可証」と「遺体証明書」の発行を受けます。

エンバーミングを施し納棺する

ご遺体は基本的に航空貨物として輸送されますが、航空機ではドライアイスの使用が禁止されているため、防腐処置である「エンバーミング」が必要です。

エンバーミングには、遺体の腐敗を防ぐだけでなく、遺体から感染症が広がるリスクを防ぐ役割もあります。日本ではあまり馴染みのないエンバーミングですが、土葬が一般的なキリスト教やイスラム教の国では広く行われている処置です。

エンバーミングを終えた後にご遺体を納棺し、航空搬送の準備を進めます。

ご遺体を日本へ搬送する

防腐処置(エンバーミング)をしたあと、ご遺体は航空貨物として手配し、運ぶことになります。通関の際に「遺体出境許可証」が必要になる場合もあるため、あらかじめ在外公館に確認しておきましょう。

日本到着後は、空港から安置所や葬儀所への搬送が必要です。これらの手続きをスムーズに進めるためには、現地の日本大使館・領事館のサポートに加え、日本の葬儀社との密な連携が欠かせません。

火葬後の遺骨搬送に比べ、遺体搬送には手間がかかる点に留意が必要です。また、海外の棺は大きさも形も日本のものとは異なるため、日本の火葬炉に入らない可能性があります。その場合は、日本で火葬用の棺を新たに用意する必要があることを覚えておきましょう。

葬儀を行う

ご遺体が日本に到着したら、自宅や葬儀場など、遺体を安置する場所に搬送します。この際、葬儀社を事前に手配しておきましょう。

ご遺体の安置後は、国内で亡くなった場合と同様に、葬儀を執り行います。ご遺体の到着日時に合わせて、葬儀社と葬儀の段取りを進めていきましょう。

海外で亡くなった場合にかかる費用

ご家族が海外で亡くなった場合にかかる費用は、ご遺骨を持ち帰る場合とご遺体を搬送する場合で異なります。それぞれの費用について解説します。

ご遺骨を持ち帰る場合

火葬料金や搬送料金は国や地域によって異なりますが、極端に高額になるケースは少ない傾向にあります。ご遺族や親しい方が現地に行く飛行機代と滞在費に加え、数万円〜10万円程度が追加で必要になるケースが一般的です。

ご遺体を搬送する場合

海外からご遺体を搬送する場合は、以下のような費用が発生します。

・ご遺体の空輸費用:15〜50万円程度(※日本までの距離によっても変動)
・エンバーミング費用:15~25万円程度
・その他の諸費用:航空機用の棺代、納棺費用、手続きの代行費用、空港までの搬送費用など。合計で50~70万円程度が目安
・国内搬送費用:空港から自宅や安置場所までの搬送費用も発生(※地域・距離により費用は変動)

海外旅行保険の補償範囲

海外旅行に行く際、多くの方が保険に加入しているか、クレジットカードに自動付帯されている保険を利用しています。これらの保険に加入している方が海外で亡くなった場合、300〜1,000万円程度の死亡保険金が遺族に支払われることがあります。

また、一部の保険では「救援者費用」という補償が適用されます。これは、海外で遭難した際の救助費用に充てられるものです。日本からの救援にかかる渡航費や宿泊費が、一定の範囲内でカバーされるケースもあります。

ただし、海外からご遺体を搬送する費用を、海外旅行保険で完全にカバーできるとは限りません。それでも、死亡保障の範囲内で、搬送や葬儀、お別れ会などの費用をカバーできる可能性はあります。

日本でのお別れ会エピソード

ここでは、海外でお亡くなりになった方のお別れ会を開催したご家族のエピソードを、2つ紹介します。

【エピソード1】不仲な家族がお別れ会をきっかけに再び集う

Aさんは美術品のバイヤーとして活躍する女性でした。日本で結婚し子供をもうけたものの、海外での仕事が多く、子供が成人すると生活拠点を海外に完全に移していました。その影響でAさんの夫や子供たちが顔を合わせる機会がなくなり、さまざまな事情から家族間の関係も悪化していきました。

そんな中、Aさんが海外の自宅近くで交通事故に遭い、お亡くなりに。Aさんの仕事関係者からAさんの家族に連絡が入り、長男が現地に向かいました。現地で火葬を終えた長男は日本に戻り、気が進まないながらも家族全員に連絡を取ってみました。

母親が勝手に日本を離れたと感じていた家族は、彼女への複雑な思いを抱えていましたが、全員が「一言伝えたい」と考え、結果として小さなお別れ会が開かれることになりました。当初はただ集まり、仕出し弁当でも食べて終わる予定であった会は、いざ家族が集まると、母にまつわる話でいっぱいに。それぞれが異なる思い出を語り合ううちに、いがみあっていたことも忘れ、笑いあり涙ありの温かい会となりました。

母親が遠い異国に移り住んで家族が離散したものの、亡くなって戻ってきたことで家族の絆が取り戻されたのです。Aさんのお別れ会は、家族にとって大きな転機となりました。

【エピソード2】留学先の子供が無念の帰国

Bさんの子供は米国に留学中、事件に巻き込まれ命を落としてしまいました。事件発生後、入院中の子供のもとへBさんが駆けつけ、見守る中で息を引き取ったということです。

深い悲しみに暮れるBさんでしたが、現地の病院は長期間の安置を認めてくれず、すぐに現地の領事館に連絡を取り、搬送手続きを進めることに。火葬は日本で行うことを選び、エンバーミングを施したうえで日本へご遺体を搬送しました。

帰国後、子供の留学仲間や中高時代の友人たちが集まり、お別れ会が開かれました。友人たちが泣きながら名前を呼ぶ度に、Bさんも胸が張り裂けるような思いをしたそうです。

ある友人が「彼女が亡くなったのは本当に残念だけれど、一番悔しいのは本人だと思う。留学先で一生懸命頑張っていたことを、みんな知っている。彼女の努力を無駄にしないよう、私達もこれから頑張っていきたい」そう伝えてくれたことで、Bさんは少し救われた気持ちになりました。

海外では毎年300〜600名の邦人が亡くなっています

外務省が発表している「海外邦人援護統計」によると、年間で300〜600名程度の日本人が海外で命を落としています。主な原因は傷病ですが、自殺や事故で亡くなるケースも少なくありません。

海外で火葬し、日本で葬儀・お別れ会が最適

海外でご家族が亡くなった場合、現地で火葬を済ませたうえで日本に帰国し、改めて葬儀やお別れ会を実施するのが最適です。海外で火葬や葬儀、埋葬まで済ませる場合でも、日本で改めてお別れ会を開くことをおすすめします。

まとめ

ご家族が海外で亡くなった場合、主に以下の2つの選択肢があります。

・現地で火葬し、ご遺骨を日本に持ち帰る方法
・ご遺体を日本まで搬送してから葬儀を行う方法

それぞれの方法には費用や手続き面での違いがあります。状況に応じて最適な選択をし、悔いのない供養を行いましょう。

私たちStoryでは、海外でご家族がお亡くなりになった方のために、日本での配送手配や、お別れ会・偲ぶ会のプロデュースをさせていただいています。

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